各種試験結果の概要

豚の健康に対する影響

 ホエイを給餌した豚は、ホエイ中の乳酸菌の働きにより、腸内環境が整うため順調に発育します。重量検査結果をみると、対照区(ホエイを給餌していない豚)と比較してホエイ区(ホエイを給餌した豚)は体重増が大きく、餌をよく食べて健康に育っているとみられます。

豚の重量検査

肉質に対する効果

【肉質の柔らかさ】

 ホエイを給餌した豚は、対照区と比較して筋原繊維の強度が低く、また、官能検査でも「噛み切りやすさ」「咀嚼しやすさ」で優位であり、ホエイの給餌が、肉質を柔らかくすることに貢献しているとみられます。

筋原繊維の強度測定

官能試験による評価

【肉質のおいしさ その①】 ~脂肪の融点温度の低さ

 脂肪の融点温度とは食肉の脂肪が溶け始める温度であり、融点温度が低いほど肉になめらかな食感を与え、食べたときにおいしさとコクを感じさせます。
 豚のロース肉、バラ肉ともにホエイ区のほうが脂肪の融点温度が低くなっています。

豚肉の抽出油の上昇融点の比較

【肉質のおいしさ その②】 ~食味UPにつながる脂肪酸の多さ

 食肉に含有する脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とで構成されます。さらに、不飽和脂肪酸には一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸とで構成されます。

 一価不飽和脂肪酸は食味に正の相関(構成比が高いほど食味が良い)、飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸は食味に負の相関となる傾向があります。

 ロース肉、バラ肉ともにホエイ区のほうが食味に正の相関がある一価脂肪酸の構成比が高くなっています。

脂肪酸の種類別構成比

 脂肪酸のうち、脂の香りや甘味にプラス評価となる代表的な脂肪酸であるオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)と、食味の総合評価にマイナスとなるリノール酸の構成比をみると、オレイン酸はロース肉、バラ肉ともにホエイ区のほうが構成比が高くなっています。なお、オレイン酸は、血液中の悪玉コレステロール値を低下、循環器系疾患のリスクを減らす可能性がある健康効果もあるといわれています。
 一方、食味の総合評価にマイナスとなるリノール酸については、ロース肉、バラ肉ともにホエイ区のほうが構成比が低くなっています。

脂肪酸におけるオレイン酸、リノール酸の構成比